青宙通信 2017年度 第7号

 

 どうも、青宙編集長です。

 

 

 先日、夏合宿が行われました!昨年度まで使っていた場所が使えなくなり、初の場所として尾瀬岩鞍の片品村を訪れました。ご存知の通り、今年の8月は天気が悪く、不安しかなかったのですが、結果として二晩は晴れ間を見せてくれました!天の川がはっきりと見られ、夏・秋の星座と、冬の星座の一部を見ることができました。望遠鏡や双眼鏡で、アンドロメダ銀河やプレアデス星団も観測できましたね。3年の幹事はじめ、皆さんお疲れ様でした!

 

 

 本号の執筆者は、青キャン3女、教育学部コンビの清水美羽さん、堀越愛紗さんのお二人です。今回も、二人それぞれ異なる内容を書いてもらっています!

 

 

 

 さて今回は、みう(清水)には「北極星」について、ほりこ(堀越)には「国際宇宙ステーション(ISS)」についてそれぞれ取り上げてもらっています!

 みうの記事の方から、本編をどうぞ!

北極星がいつかは別の星になる?

 こんにちは!今回青宙を書かせていただきます、青キャン3年生の清水美羽です。

 執筆するにあたり、「どんなテーマなら皆がより興味をもってくれるか」、「小難しくても簡単すぎてもいけない」この2つを意識して考えてみました。どうぞ、最後までお付き合い頂けたらと思います。

 

 

 北極星といえば、1年中北の空で位置を変えない星CRCの文化祭では定番のこのフレーズ。私もよく覚えております、何度唱えたことやら(笑)。その通り、北極星は北の方角を教えてくれる、見た目はあまり目立たないけれど優秀でかっこいい星だと個人的には思っています。

 

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 そんな北極星は、地球の自転軸の延長線上にあります。それ故、どんなに時間が経っても位置は変わりません。昔は旅や航海の目印に、現在では天体観測のアンカーポイント(判断基準点)にもなっています。具体的にはこぐま座ポラリスが現在の北極星です。

 

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 しかし、紀元前にはポラリスとは違った星が北極星でした。「紀元前って、随分前の話を持ち出したなぁ」と思われた方もいるかもしれませんが、「北の方角の目印」が変わってしまえば星座をたどることがさらに困難になり、文化祭のナレーションも大幅な変更を余儀なくされます。とても大変なことだと、私は思えてなりません。

 

 

 ではどうして、北極星が入れ替わってしまうのでしょうか?それは、地球自体の自転に答えがありそうです。地球の自転軸は黄道面から約23.4度傾いていて、その傾いた自転軸を中心に西向きにゆっくり動いています。

 

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 この現象には歳差運動という名前が付いていますが、身近なもので例えると、コマです。ヒモを引っ張って回したコマは、はじめは軸に対して垂直に回転していますが、次第に軸が斜めになるとコマが大きくぶれて回りますよね(首振り運動といいます)。まさに、その現象が地球でとてもゆっくり起こっているわけです。

 

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 つまり、自転軸が円を描くように動くので、その延長線上にある北極星も変わらなくてはならないのです。地球がこの歳差運動によって1周する(歳差周期)には約2万5800年かかります。気が遠くなるような、スケールの大きい数字ですね。1000年くらいなら北極星を換えることはしなくてよさそうです。さてさて、そうとなれば気になるのがこれまでの歴代北極星ですよね。先ほども述べましたが、現在はこぐま座ポラリス北極星です。では昔はどんな星が北極星だったのか、紹介していきたいと思います!

B.C. 1万1500年頃 こと座のベガ

 

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 なんと、夏の大三角のひとつであるベガが北極星だったのですね!今よりも随分と見つけやすそうです。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、歳差周期が2万5800年、ベガが北極星だったのは、B.C. 1万1500年。今が2017年なので、ベガの頃から現在まで歳差周期のだいたい半分の時間が経っていることになります。つまり、ポラリスの反対側にベガがあるということで、半周してきたのですね。

B.C. 2800年頃 りゅう座のトゥバン

 

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 近くにこぐま座があります。このトゥバンという星座、ポラリスよりも見つけにくそうです。

B.C. 1100年頃 こぐま座のコカブ

 

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 りゅう座のトゥバンの図にもこのコカブが載っています。トゥバン、コカブそしてポラリスを同時に見てみると、弧を描いて北極星が移動しているのが分かります。

 

 

 そして、西暦4100年頃にはケフェウス座のエライが次期北極星になると予想されています。ケフェウス座CRCにとっては馴染みのあるものですね!

 

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 こうして見ると、よく知られているような星座が北極星だったこともあるようですね!そして当たり前ではありますが、やはり近くにある星が北極星に選ばれるようです。長い時間をかけてゆっくり動いているのがよく分かりますね。残念ながら北極星が代替わりする瞬間に、現代を生きる私たちは立ち会えませんが、北極星が動いていることは確実です。

 

 

 ここまで北極星の不思議を述べてきましたが、気になる北極星の見つけ方は文化祭で学びましょう!お付き合い頂き、ありがとうございました!(清水)

 国際宇宙ステーション(ISS)

 こんにちは!今回担当させて頂くことになりました堀越です。

  いろいろ悩んだ結果、私は「国際宇宙ステーション(ISS)」と「ISSでの宇宙飛行士の生活」に焦点を当てて調べました!

国際宇宙ステーションについて

 国際宇宙ステーション(International Space Station,通称ISS)は、地上から約400㎞上空に建設された巨大な有人実験施設です。どのくらい巨大かというと、なんと大きなサッカー場くらいあります。

 

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 そして、ISS地球の周りを1周約90分という速さで回りながら、実験・研究・地球や天体の観測などを行っています。宇宙だけの特殊な環境を利用した様々な実験や研究を行い、そこで得られた成果を地上の生活や産業に役立てていくこと、科学・技術をより一層進歩させることを目的としています。

 

 

 ISSには2000年11月2日から宇宙飛行士が滞在を開始し、現在は6名体制で運用を行っています。主に米国がISS全体の運用について調整を行い、米国、ロシア、日本、欧州(ESA=欧州宇宙機関の11ヵ国)、カナダの各国機関がそれぞれ開発した装置やシステムを、責任をもって運用しています。

 

 

 そもそもISS計画は、1984年に米国のレーガン大統領が「人が生活することのできる宇宙基地を、10年以内に建設する」という発表を行ったことで正式にスタートしました。そして同年に開催されたロンドンでの国際会議で、レーガン大統領は関係各国に計画への参加を呼びかけたのです。計画発表から3年後、1987年に描かれた想像図(下図)は、現在のものとかなり形が異なっていたことが分かります。

 

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  ISSの主な構成要素として、電力を作り出す「太陽電池パネル」、船外での作業で活躍する「ロボットアーム」、宇宙飛行士が使用するスペースとして「実験モジュール」と「住居モジュール」があります。モジュール内は宇宙服を着なくても生活できるよう、地球の大気とほとんど同じ状態が保たれています。巨大なISSには、宇宙飛行士が安全に生活し仕事をするための様々な機能や工夫が盛り込まれています。

 

 

 では、宇宙飛行士はISSの中でどんな生活をしているのでしょうか。

ISSでの宇宙飛行士の生活

 

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 1日の生活リズムはこんな感じです。基本的に作業時間は午前と午後で合計平均6.5時間程度、休日は週2日(土日)、半年滞在で4日ある祝日は各国の祝日の中から各クルー毎に決めています。また、自由時間なにしてるのかな~、ちょっと暇そうだな~、なんて思ったのですが、宇宙飛行士は自分だけの持ち物をいくつか持ち込むことが出来るので、本を読んだり、音楽を聞いたり、DVDで映画鑑賞をしたりと、地上と同じように趣味の時間を過ごすことが出来ます。

 

 

 食事は、現在150種類ほどの宇宙食があり、プラスチックの容器に入っていてお湯などを加えて溶かすもの、オーブンで加熱することが出来るものなどがあり、他に果物やパン、ナッツなどそのまま食べるものもあります。飲み物を飲むときは、パックからストローで吸います。

 

 

 睡眠はどうしているのかというと、寝ている間にふわふわとどこかに飛んで行っては困るので、小さい寝室や寝袋を使い、体が浮かないように軽く縛って寝ます。また、無重力状態では水が流れないので、洗面台やシャワー室はありません。すっきりしたいときは、アルコールで拭くか、液体せっけんを含ませたタオルで拭きます。洗髪の際は、船内に泡が飛び散らないように水を使わずに洗えるシャンプーを使用し、洗い終わったら乾いたタオルで拭きとっておしまいです。体はボディーシャンプーを含んだ濡れたタオルで拭くだけです。

 

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  ISSの中でも、意外と自由はあるのだなあと感じました。(堀越)

 

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9月の天体イベント

9月5日(火)

海王星がみずがめ座で衝

(衝については第2号参照)

9月6日(水)

満月

9月17日(日)ごろ

水星と火星が接近

9月18日(月)

月と金星が接近

9月19日(火)

月と水星、火星が接近

9月20日(水)

新月

金星とレグルスが接近

編集後記

 この度は執筆させて頂き、ありがとうございました。北極星というテーマは単純すぎるかとも思いましたが、自分でも勉強しながら書いていたので、なかなか単純という言葉では片づけられないのが天体、宇宙の面白いところだと改めて思います。特に歳差運動のところは文献探しまくっていました。元理系の血が騒いでいたのかもしれません。但し、物理の公式は覚える気がありません。さて、この季節になると星空を無性に見たくなるものですね…ただ見ているより、星座、天体を理解した上で見るとより面白いと思います。ぜひこの北極星の話を思い出して、見つけるのに苦戦してください(笑)。どうもありがとうございました。(清水)

 

 

 青宙の執筆の話を頂いて、難しいことはあまりわからないしどうしようって悩み始めたら止まらなくて、素直に自分が知りたいなって思ったことを取り上げました。博識な皆さんには物足りなく感じる点も多かったと思いますが、私自身、調べていてすごく楽しかったし、知識を得るいい機会となりました。ありがとうございました。(堀越)

 

 

 どうも、withBです。(分かる人には分かる)個人的な都合で、更新がたいへん遅れてしまいました。申し訳ありません。今回は、比較的よく耳にする事柄を掘り下げてくれましたね。宇宙食については、旧ブログにおいて、私たちの3つ上の先輩方が詳しく書いてくださっているので、是非読んでみてください。(pastCosmicResearchClub 青宙第7号)気づけばもう夏休みも残りわずか、後期が始まれば学祭が目前に迫ってきます!みうも書いてましたが、1年生はナレーション練習頑張ってください。(二口)

参考文献