青宙通信2017年度 第12号
春休み真っ只中ですが体調崩して2日無駄にした編集長のこまです。
今回はひろきさんとかいとのCRC頭脳(?)コンビの2人です👏
はじめに
寒い日が続いていますので体調を崩さないように気をつけたいです。今回青宙通信を担当する、工藤と鈴木です。今回のテーマはハッブル宇宙望遠鏡です。
ハッブル宇宙望遠鏡とは
ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)はHSTとも呼ばれる、最も有名な宇宙望遠鏡です。宇宙望遠鏡とは、大気圏外に打ち上げられている天体望遠鏡のことです。ハッブル宇宙望遠鏡は地上からおおよそ600m上空にあり、約100分の周期で地球のまわりをまわっています。1990年4月24日、スペースシャトル・ディスカバリー号によって打ち上げられました。名前は宇宙の膨張の発見者であるエドウィン・ハッブル(E. Hubble)にちなんでいます。ハッブル宇宙望遠鏡はたくさんの成果をあげ、撮影された美しい画像で世界中の人々を魅了してきました。
宇宙望遠鏡の利点
宇宙望遠鏡を打ち上げるには莫大なお金が必要です。しかし、宇宙望遠鏡ならではの利点があります。一番の利点は大気や天候の影響を受けないことです。天体を、望遠鏡を用いて地上から観測する時、大気のゆらぎにより、屈折率分布に僅かな変化が生じ、天体がぼやけて見えてしまいます。この度合いのことを、シーイングと呼びます。宇宙望遠鏡はこの影響を受けないため、高い精度で天体を観測できます。
ハッブル宇宙望遠鏡の成果
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像は様々な成果をあげています。ここでは2つの成果を紹介しようと思います。
1つ目はブラックホールについてです。ブラックホールの理論はアインシュタインの一般相対性理論で説明されていましたが、光さえも吸い込むブラックホールは観測が難しく、その存在を証明することはできていませんでした。1990年代、地上の望遠鏡、天文台、そしてハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像により銀河の中心にある星のパターンを捉え、存在が証明されました。その後もハッブル宇宙望遠鏡は、地球から1400万光年離れ、太陽の1000万倍の質量のブラックホールを持つ巨大銀河「ケンタウルスA」の撮影、地球から5400万光年離れ、見つかっている中で最も高密度銀河かつ巨大なブラックホールを持っている銀河M60-UCD1の撮影、地球から3憶800万光年離れた「かみのけ座銀河団」にある、見つかっている中で最大の太陽の210憶倍の質量と推定されるブラックホールを持つ巨大楕円銀河NGC4889の撮影など多くのブラックホールを持つ銀河の撮影をし、銀河の中心にはブラックホールがあるという理論の裏付けとなっています。
2つ目は宇宙膨張についてです。1920年代、アインシュタインの重力理論の中に宇宙が膨張することを表す解が見つかりました。これと天文台での観測によって宇宙膨張を示したのがハッブル宇宙望遠鏡の名前の由来となったエドウィン・ハッブルでした。その後、ハッブル宇宙望遠鏡の撮影した数十憶光年遠方の画像がこの宇宙膨張を示す証拠となっています。また過去の観測結果と比較することでダークエネルギーによる宇宙膨張の加速も発見され、現在よく知られている宇宙モデルが確立されています。
この他にも木星、土星でのオーロラの撮影、暗黒物質(ダークマター)の存在証明などいくつもの成果をあげているので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。短くなってしまいすみません。ところで、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機の打ち上げが予定されているそうです。ハッブル宇宙望遠鏡よりも高性能な宇宙望遠鏡で撮影した画像がたのしみです!