青宙通信2017年度 第13号

 

2017年度!!!!〆号は!!!!マイクとだっちのイケメン(?)コンビです!!!!

 

はじめに

 こんにちは。2年生の小倉一起と安達雄祐です。今回は自分達がいまハマっている漫画「宇宙兄弟」について執筆していこうと思います。宇宙兄弟という作品を通して、宇宙兄弟の世界と現実の比較をしてみたいと思います。

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宇宙兄弟とは(これより先若干のネタバレを含みます)

 

 宇宙兄弟とは、2008年から連載している、宇宙、主に宇宙飛行士を題材にした漫画です。漫画だけでなく、アニメ、実写映画にもなっている人気作品です。

 簡単なあらすじを説明すると、物語の舞台は、2025年の日本、子供のころにUFOを目撃した兄弟が、そのことをきっかけに宇宙飛行士になるという夢を持ち、現実と向き合いながら努力していく物語です。弟は努力の末、日本人最年少の宇宙飛行士になりましたが、兄は一般的な自動車メーカーのサラリーマンになりました(結局トラブルでクビになりましたが)。JAXAの宇宙飛行士選抜試験の一次審査に合格したことをきっかけに、再度宇宙飛行士を目指し始めた兄を中心とした非常にリアルなSF漫画です。

 

実際に宇宙飛行士になるためには?

 宇宙兄弟の世界では、JAXAの選抜試験の募集に応募して、一次、二次、三次選考に通って初めて宇宙飛行士と認められていましたが、実際はどうなんでしょう?調べてみたところ、日本で宇宙飛行士になるためにはJAXAの募集を待つしかないみたいです。さらに、このJAXAの募集ですが数年に一回しかないみたいで、一番最近だと2008年にあったみたいです。その前が1998年らしいのでおよそ10年に一回と考えると相当高い壁ですね。

実際に選考に募集したとしても、採用人数が3名らしく、倍率が300倍ほどらしく…。

 この選抜に通って宇宙飛行士「候補生」になれます。この候補生になったのちNASAで二年ほど訓練を受け初めて「宇宙飛行士」として認められます。

 

選考で求められる資格や素質

 JAXAの選考で求められる資格や素質についてまとめてみました。

1 日本国籍を有すること

2 自然科学分野における研究等に三年以上携わっていること

3 大卒以上であること

4 宇宙飛行士として訓練、活動に対応できる知識、技術があること

5 訓練時に必要な泳力(着衣で75m以上泳げる、10分以上立ち泳ぎが出来る)があること

6 宇宙飛行士チームとして円滑な意思疎通が出来る英語力があること

7 訓練活動、長期宇宙活動に適応できる医学的、心理的適性があること。

 ・医学的適性

  身長:158cm以上190cm以下である

  体重:50kg以上95kg以下であること

  血圧:最高血圧140mmHg以下かつ最低血圧90mmHg以下

  視力:両目とも矯正視力1.0以上

 ・心理的適性 

  協調性、適応性、情緒安定性等国際的チームの一員として業務に従事できる心理的特性を持つこと

8 日本人宇宙飛行士としての教養(美しい日本語、文化、社会への造詣、事故の経験を伝えるための豊かな表現力 等)を有すること

9 10年以上宇宙航空関係開発に勤務可能であり、長期の海外活動勤務が可能であること

10 米国勤務に必要な国際免許の所得のため、日本の普通自動車免許を所有していること

11 所属機関の推薦が得られること

などがあります。

 

漫画の中の選抜試験や訓練と現実の比較

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 漫画の中で行っていた試験内容や訓練と現実の世界で行っているものに違いがあるのでしょうか?漫画の中で行っていた試験や訓練を少し調べました。

 

JAXA宇宙飛行士選抜試験

 

宇宙兄弟の世界での選抜試験の最終試験は候補者を閉鎖空間に閉じ込め適性を観察される試験でした。実際の試験の内容や設備などの詳細は調べることが出来ませんでしたが、簡単な内容は1週間にわたって10人の候補者を閉鎖環境に置き、ストレスをかけた状況で共同作業を行わせ、その中での行動から宇宙飛行士としての適性を見られる試験だったようです。漫画の中では15名の候補者が5人ずつの3グループに分けられ、宇宙飛行士にふさわしい人物をグループ内で選抜する試験でした。実際の試験と異なっているのは人数程度で、グループ内選抜は漫画らしい展開ということでしょう。

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選抜試験後の訓練

宇宙兄弟の世界で行われたNASAでの訓練のうち、僕たちが「こんな訓練実際にあるのか?」と思った訓練について比較します。

 

ジェット機の飛行訓練

新人から中堅の宇宙飛行士にとって、特に重要視される訓練の一つに、T-38ジェット練習機による航空操縦訓練があります。これは最大速度マッハ1.08という、音速で空を駆けるジェット機の操縦訓練です。訳1分半で山手線を一周する音速の中では、ほんの少しの判断の遅れや操縦ミスが自分の命だけではなく、同乗している仲間の命をも奪う重大事故につながります。こうしたストレス下での操縦訓練を通し、宇宙飛行士たちはマルチタスクに磨きをかけていくのです。

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 宇宙兄弟での作中ではこの飛行訓練において、目隠し運転をしていてさすがに非現実的だと思いましたが、何が起こるかわからない宇宙空間を想定した場合、そのような訓練をしていてもおかしくはないと思いました。

 また、ジェット機操縦の為のライセンスは必要なのか、いつ取るのか、という疑問がありましたが、宇宙飛行士候補の募集条件に航空機の操縦ライセンスは含まれていないので、おそらくライセンス取得も訓練に含まれるのでしょう。頭脳、技術、体力に秀でて厳しい選考をくぐり抜けた人材ですから、それくらいは容易な事なんだろうと思います。

 

海底研究施設での訓練

作中では、海底の訓練施設NEEMOで2週間過ごすという訓練があります。これは、水中の軽重力下により月面での作業を想定した訓練で、逃げ場のない環境に身を置き集団行動することで宇宙飛行と同じ極限の環境に慣れ、高い自己管理能力を養うのが目的です。この訓練も実際にある訓練で、海底で様々なミッションを行います。

 作中では、主人公たちは海底を月と想定し、月面施設の設計と建設を行いました。コストや効率、目的など様々なことを考えながら最善の案を出し、実行する。宇宙飛行士とはつくづくすごい人たちだと思いました。おそらく現実の宇宙飛行士も、同様に月や火星などを想定して訓練しています。油井宇宙飛行士の日記にも、海底訓練について書かれた記事がありました。みなさんも是非、読んでみてくださいね。

 

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感想

 この記事を書くにあたって、宇宙兄弟を読み返したのはもちろん、普段調べないような宇宙飛行士の資格や訓練について知ることができ、いい経験になりました。資格や選抜試験、訓練について調べていると、宇宙飛行士への道がどれだけ狭き門で、なれたとしてもそこからの訓練がどれほど過酷かということがよくわかりました。いままで軽い気持ちですごいなぁと思っていたニュースに出ている宇宙飛行士も、今では本当にすごいんだな!と目を見開いて見てしまうほどです。

 また、漫画の中の訓練と実際の訓練を比べたことで、宇宙兄弟の世界は現実とほぼ同じだということがわかりました。いうなればフィクションとノンフィクションの間のような、そんな感覚を覚えました。さすがに漫画の主人公なだけあって、宇宙飛行士になるまでもなってからもテンポよく事が運びますが、それはそれで面白いです。ほどよく現実的で、ほどよく漫画的要素が入っているので、自分たちの年齢にとてもよく適した読み物だと思いました。漫画が好きな方も、宇宙が好きな方も、楽しんで読める漫画です。

 私が宇宙兄弟で一番好きな点は、名言がとても多いところです。魅力的なキャラが多く、各々がしっかりとした信念のようなものを持っていて、だからこそ言える心に残る言葉が、この漫画には多く出てくるのです。実際一話に一個は名言が出てくる勢いです。僕の心に一番残っている台詞は…と挙げたかったのですが、正直一番など選べないほどに、グッとくる名言が多すぎるのです。是非宇宙兄弟を読んで、貴方の心に残る名言を見つけてみてください。きっと新しいことにチャレンジしてみたくなったり、新しい自分を見つけることができると思いますよ。もしかしたら未来の宇宙飛行士は、貴方かもしれませんね。

 

参考文献 

 宇宙兄弟