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青宙通信 2017年度第1号

 

 皆さんこんにちは!

 

 2017年度青宙通信が今月からスタートいたします!今年度の編集長を務めます、二口と申します。昨年度同様、毎月25日発行、基本号は全10号連載していく予定です。更なる面白い、読みやすい記事を作れるよう頑張ってまいります!

 

 

 青宙とは、我々CRC(理工宇宙科学研究部)の部員が宇宙に関して興味のある事柄について調べ、書く会報で、部員全体の知識向上と宇宙の面白さを伝えることを目的としています。楽しく宇宙への理解を深めていただけると幸いです。

 

 

 さて、2017年度スタート号の執筆者は、今年度観測隊長の藤田直希くんです。

 今月は、観測会ごとに起こるCRC最大の悩みを、観測隊長が解決してくれるかも?

 

 本編をどうぞ!

 

 

 こんにちはー!!今回の青宙を書かせていただく藤田です。部活ではフジパイとか呼ばれています。皆さんは雨の日や曇りの日に空を見上げたことがありますか?あるある!という方が見たものは、間違いなく雲でしょう。星が見えるぜ!という方は透視ができる方だと思いますので、今すぐ星空を見に行きましょう。雲しか見えな~いという方のために、曇りや雨の日でも観測を行える方法を今回の青宙通信で紹介します!

 流星電波観測

 結論から申しますと、曇りや雨の日でも観測を行える方法として「流星電波観測」というものがあります。流星電波観測とはその名の通り電波を使い、天候や昼夜に左右されずに流星の観測を行うことができます。

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 その仕組みは・・・

 流星は発光する時、その周囲にある大気を一時的に電子とイオンに分けます。これにより電離という状態が引き起こされます。この電離により電子の濃度が濃くなることで電離柱と呼ばれるものが形成されます。電離柱に電波観測で使用する無線の超短波(VHF)帯の(30MHz300MHz)領域の電波が反射することで流星の観測を行います。つまり,流星が出現すると電波が反射するというシステム、これこそが流星電波観測です。電波が反射してきた数を数えることで流星の数を数えることができます。反射してきた電波は、

 

「流星のエコー」と呼ばれています(かっこいい)。

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この画像では10個の流星が確認できます。(飛行機も電波の反射で観測しています)

電波天文学

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カール・ジャンスキー

 

 地球から電波を送って観測を行うやり方があるということは皆さんもわかっていただけたと思います。ここからは、宇宙からやってくる電波を受信する「電波天文学」について紹介したいと思います。電波天文学は非常に新しい天文学で、80年ほど前にその歴史が始まりました。1931年アメリカ人技術者カール・ジャンスキーがアンテナにより雷の雑音がどの方向からくるか調べていた時、毎日ほとんど同じ方向から電波がきていることに気づきました。この電波が地球の外からきていると解釈され、電波天文学の始まりとなりました。第2次世界大戦後には多くの国で電波観測が行われるようになり精度の高い電波望遠鏡がつくられるようになっていきました。

 

 

 では電波天文学の具体的な中身についてお話いたします。その前に、そもそも電波とは何か、確認しておきましょう。

電波とは

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 電波とは、電磁波の一種の呼称です。電磁波は、周波数(波長)でその呼び方が変わってきます。私達の目に見える光も「可視光」と呼ばれる電磁波の一種です。電磁波のうち、周波数が3THz以下のものが電波と呼ばれているのです。また、電波の中でも様々な種類分けがありますが、最も赤外線よりの電波(最も周波数が高く、波長が短い電波)を「サブミリ波」と呼び、次に波長が短い電波は「ミリ波」と呼びます。電波天文学ではこれらの電波が主な観測対象となります。ちなみに、すばる望遠鏡が観測するのは可視光と赤外線です。

 

 

 宇宙に存在する物質は、星でも、ガスでも、太陽でも、必ず電波を放出しています。この電波をとらえて、目視できないものを調べるのが電波天文学です。宇宙空間にある塵やガスはとても冷たく、光や赤外線を放射しない一方で、ミリ波やサブミリ波を放射しています。そのため、その姿を光の望遠鏡で見ることはできませんが、電波望遠鏡で観測が可能になります。電波望遠鏡の役割は、このように本来見えないものから放射される電波をキャッチする、というところにあります。つまり、見えないものを見ようとして望遠鏡をのぞき込むと、真っ暗なものの正体が見えてくるのです。例えば、光では見えない銀河系の中心、ビッグバンパルサー、星間分子線、ブラックホール、ジェットなどの観測では電波望遠鏡が大きく貢献しています。

 

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アンテナ銀河を電波望遠鏡で見ると、左のように見える

アルマ望遠鏡

 電波望遠鏡は人間の出す電波が多いところでは、その性能を十分に発揮することができません。また、波長の短いサブミリ波は水蒸気によって吸収されてしまいます。そのため電波望遠鏡は標高が高く乾燥した地に設置されることが望ましいとされます。

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世界的に有名な電波望遠鏡であるアルマ望遠鏡

 

 例えば、上の写真のアルマ望遠鏡 (アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計:Atacama Large Millimeter/submillimeter Array =「ALMA」)は、南米チリ、アタカマ砂漠の標高約5000メートルの高原にあります。この場所は年間降水量が100ミリ以下でほぼ年中晴天なこと、さらに標高が高いため水蒸気による電波吸収の影響を受けにくいことなどから、サブミリ波もとらえることができるとしてこのアルマ望遠鏡が設置されたのです。世界最高の感度と分解能(対象を測定または識別できる能力)を備えた望遠鏡で、天体の真の姿にたいへん近い電波画像を得ることができます。

 

 

 最近の電波天文学のニュースとして、アルマ望遠鏡による観測があります。暗黒矮小銀河の冷たい塵が放つ微弱な光の検出を、世界で初めて成功したというものでした。矮小銀河は、私たちが住んでいる天の川銀河の約1000分の1以下の質量しかない、非常に小さな銀河のことです。この矮小銀河には、観測されている数が理論より著しく少ないという謎があります。この謎の答えとして推測されているのが、ほとんど光が見えない暗黒矮小銀河がたくさん潜んでいるのではないかという推測です。暗黒矮小銀河の謎を解明するためには、暗黒矮小銀河の放つ微弱な光を検出するか、重力のチカラで近くを通る光の経路を曲げる重力レンズ効果を用いて質量を測定するしかないのです。そのため、暗黒矮小銀河の謎を解明できるかもしれない光の検出は大ニュースである、というものです。

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くじら座の矮小銀河

3月の天体イベント

3/9(木)

ガガーリンの生誕日

3/12(日)

満月

3/13(月)

じょうぎ座ガンマ流星群 極大

3/14(火)~15(水)

月、木星、スピカが接近

3/20(月)

春分

3/24(金)

おとめ座流星群 極大

3/28(火)

新月

3/29(水)日の入り後

月、水星、火星が接近(三月末に水星が最も太陽から離れる、3つの天体が三角形をつくる)

編集後記

 電波天文学は、これから先の天文学において非常に重要な鍵になると考えています。そのため、普段何気なく扱っている電波について、そういえばこれで観測できるんだったなと思って頂けるきっかけになれば嬉しく思います。この青宙を読んでいただいた方々が何気なく電波観測を試してみたとき、宇宙に関する謎を解明することになるかもしれません。(藤田)

参考文献

 

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